イベント告知『『ヘンリー・ソロー 野生の学舎』(今福龍太) 『(不)可視の監獄 サミュエル・ベケットの芸術と歴史』(多木陽介) 刊行記念トークイベント 監獄からの自由——ソローとベケット』

監獄からの自由——ソローとベケット 
出演 今福龍太(批評家)× 多木陽介(演出家)

監獄は⼈間の自由を拘束する装置だと思われています。権⼒に対して⾃由を主張した人間が監獄に入れられる例は、歴史において数限りなくありました。そのとき、監獄はむしろ自由を標榜するための拠点となりました。逆説的にも、監獄において⾃由というものの真の意味が示されたのです。翻って、監獄だけでなく、テクノロジーや情報による支配・拘束システムを生みだしたいまの社会こそ、監獄そのものではないでしょうか。私たちは、知らぬ間に社会という檻のなかに閉じこめられ、そのなかで幻影の⾃由を追い求めているだけかもしれないのです。
ヘンリー・ソローとサミュエル・ベケット。ソローは19世紀の東部アメリカ人、ベケットアイルランドーパリと流れた20世紀ヨーロッパの亡命者。まったく違う二人ですが、どちらも社会における「監獄」という制度と比喩に、人間の自由の束縛と、そこからの解放のイメージを同時に鋭く⾒通した、不思議な精神的連帯を感じさせる二⼈です。

今福⿓太の新著『ヘンリー・ソロー 野⽣生の学舎』(みすず書房)、そして多⽊陽介の渾⾝のベケット論『〈不〉可視の監獄 サミュエル・ベケットの芸術と歴史』(⽔声社)。この2著の⾏行を記念して、ソローとベケットにおける「監獄」について徹底的に考え、技術文明の包囲のなかで甦るべき野生の精神をめぐって語ります。私たちはいま、権⼒の包囲のなかで、どのように自分自⾝の歴史を書き、自分自⾝の自由を歌うことができるのでしょうか? 東京・下北沢の本屋B&Bで開催され大好評だったイベントの第2弾、言葉と映像の饗宴をお楽しみください。

当日は多木陽介のビデオ作品「ベケット・監獄・歴史」(20分)を上映します。

2016年11月26日(土)18:30〜(約2時間予定)
会場 古本屋ワールドエンズガーデン店内
入場料 1000円
定員25名・要予約

【登壇】
今福⿓太
文化⼈類学者・批評家。東京外国語大学大学院教授。サンパウロカトリック大学客員教授として映像論/偶景論のセミナーを随時担当。また、群島という地勢に遊動的な学びの場の創造を求めて2002年年より巡礼型の野外学舎〈奄美⾃由⼤大学〉を主宰。おもな著書に『クレオール主義』(ちくま学芸文庫)、『ブラジルのホモ・ルーデンス』(月曜社)、『ミニマ・グラシア』『群島‒世界論』『薄墨色の文法』『ジェロニモたちの方舟』(以上、岩波書店)、『レヴィ=ストロース 夜と⾳楽』(みすず書房)、『書物変身譚』(新潮社)、『わたしたちは難破者である』『わたしたちは砂粒に還る』(以上、河出書房新社)などがある。

多⽊陽介
演出家、アーティスト、批評家。1988年年の渡伊以来、ミラノやローマを拠点に演劇活動や写真を中⼼とした展覧会を各地で催す。現在は、展覧会のキュレーション、講演、執筆など多様な⽅法によって、生命をすべての中⼼においた人間活動の哲学を探究している。著書に『アキッレ・カスティリオーニ──⾃由の探究としてのデザイン』(AXIS)、訳書にマルコ・ベルポリーティ『カルヴィーノの眼』、プリーモ・レーヴィプリーモ・レーヴィは語る』(以上、⻘⼟社)、アンドレア・ボッコ/ジャンフランコ・カヴァリア『⽯造りのように柔軟な』(鹿島出版会)などがある。



ご縁をいただきまして、開催いたします。
今福先生のトークは毎回刺激的で、講演後は背筋が伸びる気がします。
初冬の神戸よりどうぞご参加をお待ちしております。